ヤコブセンのエッグチェア、スワンチェア、セブンチェア、アントチェアなど
モダンな椅子は、フリッツハンセンより製造発売されています。北欧の家具、インテリアやアルネ・ヤコブセンについて。
ヤコブセンは、1950年代中期に手掛けたデンマークのラディソンのSASロイヤルホテルの設計では、インテリア類全般を含めてデザインやコーディネートを行いました。つまり、ディテールにまでこだわった訳ですね。そして、このとき手掛けたインテリアの中に、【エッグチェア】という椅子がありました。
底部から背部にかけて、立体的に緩やかにカーブしているフォルムが、卵のようだったので、エッグチェアと名付けられたようです。お尻の座面のあたりが「卵の殻の下半分」・・・・といった感じです。私は、エッグチェアに座った経験はありませんが、すっぽりとからだを包み込んでくれるような形状をしていていて、心地良さそうですね。床面から低いところに座面がありますので、安定感が感じられます。元々は、ロイヤルホテルのロビーにでも設置したのでしょうが、現代においてもモダンでお洒落です。レトロ・フューチャーの魅力に溢れています。
エッグチェアの座面や背もたれ等の材質は発泡ウレタンを加工したものです。そして、ポリエステルとナイロン生地の布張り、もしくは革張りとなっています。アルミ製の脚で支えていて、脚は十字型の足で床面にしっかりと接地しています。また、チェアは回転出来ます。 |
Fritz Hansen(フリッツハンセン)「The EGG」トード・ボーンチェファブリック【取寄せ品】(7973316TB) |
唐草模様がトレードマークのオランダのデザイナー、 華やかなファブリック(張地)ですね。 |
エッグチェアをはじめとするヤコブセンの椅子は、彼の生前時より、デンマークの家具メーカー、フリッツハンセン(Fritz Hansen)が製造・発売してきました。(尚、低価格のジェネリックプロダクト製品については、左サイド上部のコラムをご参照下さい。)国内でも取り扱っている業者さんがいてネット通販でも購入出来ます。当サイトで画像紹介しているエッグチェア等は、ヤマギワ オンラインストアのものです。輸入商品で【取寄せ品】となります。ですので、通販の場合、手元に届くまでに時間を要する事があります。なにぶん「逸品の椅子」ですので、届くまで、「部屋のどの場所に置こうかな」などと、インテリアを考えつつ、そして座り心地をを想像しつつ、のんびりと待つのも楽しそうですね。
ちなみに、このイスの仲間に【エッグチェアスツール】(オットマン)という足乗せ用の椅子があります。
背もたれ部が無く、座面だけになっています。
アルネ・ヤコブセンは、SASロイヤルホテルを手掛けた時に、エッグチェアの他にもスワンチェアを考案しています。 スワンチェアは、エッグチェアと同様の材質で同様の機能を持たせるためにデザインしたのだと思いますが、フォルムが翼を広げた白鳥のようなのでスワンチェアと名付けられました。 |
ちなみにコペンハーゲン郊外のクランベンボー駅の近くに所在する「ヤコブセン・レストラン」では、
実際に、スワンチェア等のイスに座って食事をする事が出来るようです。いつか行ってみたいです。
ヤコブセンの椅子としては、座面や背もたれが木製で、蟻のようなフォルムのアントチェア(アリンコチェア)や、それをさらに改良進化させたセブンチェアが世界的に知られており、フリッツハンセン社より発売されています。エッグチェアと比較するとずっとお手頃な価格です。
アントチェアは、コペンハーゲンの製薬会社、NOVO(ノヴォ)社の社員食堂用椅子のデザイン依頼を受けて、1952年に発表されました。 幾層もの積層材によるプライウッドは、軽量でありながら強度と柔軟性に優れており、大量生産にも向いているそうです。 この仕様は、セブンチェアにも採用されています。 |
Fritz Hansen(フリッツハンセン)「アントチェア」カラードアッシュ/ブラック【取寄せ品】(7973101L195) |
別名アリンコチェア。背もたれの上部から下部にかけての曲線、そして細長い足が蟻のようですね。 当初より蟻のようなデザインを目指した訳ではなく、開発過程においてこのようなフォルムに落ち着いたようです。 ヤコブセン曰く、「人間の脚と合わせて5本だから安定性は大丈夫!」との事で、はじめは3本足で発売されていました。 4本脚のイスがリリースされたのは、彼の死後です。 |
セブンチェアは、アーム付き、キャスター付きなど、デザイン・カラー共に、ヤコブセンの椅子の中でも、
最もバリエーションに富んでいます。スケールダウンさせた可愛らしい子供用もあります。
1955年の北欧デザイン博覧会「H55」にてセブンチェアは、初お目見えしました。
アントチェアをさらに改良し進化させた、座り心地の良さが魅力です。アームの曲線も美しいですよね。
Fritz Hansen(フリッツハンセン)「セブンチェア」子供用/ラッカー/ライム【取寄せ品】(7973177/910) |
Fritz Hansen(フリッツハンセン)「エイトチェア(The Lily)」ラッカー/レッド【取寄せ品】(7973208R) |
Fritz Hansen(フリッツハンセン)「エイトチェア(The Lily)」ブラックレザー【取寄せ品】(7973208LB) |
エイトチェアは、ヤコブセンが最後に創ったチェアです。
自身が建築設計に携わったデンマーク国立銀行のために、1970年に製作されました。通称The Lilyとも呼ばれています。複雑なカーブを描いている三次元曲面フォルムは、生産数の3/4が廃棄処分になるくらいに苦労したそうです。そういった経緯から、1970年製は希少価値が高く入手困難なのですが、現代技術を駆使し見事復刻に成功しました。ちなみに、当時のデザインよりも一回りサイズが大きいそうです。現代人の体格を考慮しているのだとか。
「Arne Jacobsen(アルネ・ヤコブセン)」の作品一覧
(楽天)のカタログを眺めていると、
レトロでありながら近未来的な感覚を覚えます。北欧家具の巨匠、ヤコブセンの椅子は、温かみのある優美な曲線が素敵。エッグチェアに身を沈めて、穏やかなひとときを過ごしてみたいです。
現代においては、エッグチェアやアントチェアなどは、ジェネリックプロダクト(リプロダクト)として、先発メーカーのフリッツハンセン以外でも製造販売されています。
激安・格安の通販商品が多数あります。
世界の名作チェアカタログ
(楽天市場)で、ヤコブセンの椅子を、まとめてチェック出来ます。
上記サイトは、ショップによって取り扱っている通販商品の種類や、価格・サービスが異なるので、比較するのに便利です。
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リプロダクト製品。
つまり、複製品・復刻品の事です。
インテリアにおいては、版権(意匠権)の期限が過ぎたデザイナー家具を、各メーカーが、独自の技術によって再現しています。ちなみに国内法においては、意匠権の有効期間は20年間です。
ジェネリックプロダクトは、各メーカーによって品質、再現性などが異なります。一般的には、先発メーカーよりも低価格です。
〜〜たとえば〜〜
ヤコブセンのエッグチェア(フリッツハンセン製造)は、通販価格が数十万円します。革張りになると100万円を軽く越えます。
一方、楽天市場などで販売されているジェネリックプロダクト製品は、その10分の1程度の格安・激安価格で、手に入れる事が可能な場合があります。
アルネ・ヤコブセンは生前、1872年創業のデンマークの老舗家具メーカーである、Fritz Hansen(フリッツハンセン)と共に仕事をしていました。優美な曲線加工の技術に優れていた同社は、彼の創作意図を具現化するにおいて、最適なパートナーだったのかもしれません。
1950年より共同作業が始まり、1952年リリースのアントチェア(The Ant)を皮切りに、幾つもの名作を生み出してきました。
【フリッツハンセン】
ヤコブセンの椅子の先発メーカー・本家本元になります。
長年蓄積してきた製造ノウハウによって作者の意思を忠実に表現し続けている、と考える事が出来ます。
北欧と言いますと個人的には、白い雪の舞い積もるファンタジックでロマンティックなイメージがします。それで、ムーミンやサンタ・クロース、アンデルセンなどがまずは思い浮かんできます。それと最近では、2008年に日本上陸を果したスウェーデンのアパレルブランドのH&Mが話題ですね。ちなみにスウェーデンと言えば、あのノーベルや、自動車メーカーのボルボやサーボもそうです。
北欧の製品はデザインが素敵ですね。
たとえば木工製品でも世界的な評価を得ていて、特に家具類については、日本でも人気が高いかと思います。高い技術と温かみのある洗練されたフォルムやデザインに魅せられる方が多いようです。
また、北欧まで家具作りの勉強をするために留学する日本の家具職人さんもいるそうです。この地域の木工製品が伝統的に盛んなのは、森林地帯が多く良質な木材を豊富に得る事が出来たからかもしれません。
北欧の家具やインテリア関連では、国内では例えばIKEA(イケア)が大々的に進出していて、利用されている方や関心を持たれている方が多いことだと思います。
IKEAの出店には、広大な敷地が必要となるようで、神戸のポートピアランドの跡地はじめ、湾岸や埋立地などに出店する事が多いようですが、休日には結構混雑しているそうです。